2019年

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メートルダール25周年記念事業(MA25ans)報告3

二日目となる13日から最終日15日まで、イベント会場は一般に公開されました。

その中でも一番のハイライトは森口先生も登壇される“工芸の現在・過去・未来”と題されたシンポジウム。

森口先生の他、次の方々が参加して2時間近くに亘って持論を展開されました。

  1. Le Baud: 司会進行(工芸研究家) 
  2. Johanssen : ドイツベルリン工芸協会 会長
  3. Reverdy : メートルダール(小刀)
  4. Cloud : メートルダール(セーブル陶磁器)
  5. Jonka : セーブル陶磁器 (Creation/Production 担当)
  6. Kieffer : フランス文化省

 (敬称略)

常に斬新さ、変化を必要としながらも伝統工芸は文化、伝統を引き継いでいく芸術である、との森口先生のお立場。

工芸技術を如何に商業化するかに力点をおいたドイツ工芸会。

工芸の技を哲学的に昇華させたいと論ずるフランスのメートルダール。

国としての支援体制を語るフランス文化省。

論点も多岐に亘りましたがいずれにせよ森口先生の経験と実績に裏打ちされた重みのある言葉に他の登壇者は頷くしかなかったようでした。

シンポジウム
夫婦コーヒー茶碗 《実り》
Salle Freyssinet

メートルダール25周年記念事業(MA25ans) 報告 2

初日の12日(木)は、招待客のみを対象としたセレモニーが午前11時から始まり、夕方18時開始のレセプションまで続きました。

Guillet-Lubrano MA協会名誉会長、BenoitMA協会会長の挨拶に続き、Riester文化大臣こそ代理出席となりましたが、木寺駐仏日本大使、同Meyer-Landrutドイツ大使、Cartier社Vigneron社長、独ベルリン工芸会Johanssen会長、その他来賓から祝辞が述べられました。

 

そのあと昼食をはさみ、広い会場内に展示されたメートルダールの方々の作品群の紹介、或いはミニ・コンサートなどのイベントが催されました。

なかでもSalle Freyssinetという展示室には今回森口先生に特別にお持ち戴いたお着物“緋稜文”を中心として、セーブルが先生の図柄“実り”で焼いたコーヒーカップの夫婦セット、更には先生が書かれた着物の柄の下絵も展示され、セーブルとのコラボレーションのビデオまで流すなどまさに「森口ワールド」の様相を呈し、弊社としても大変誇らしく感銘を受けた次第です。

 

また、メイン会場では夕方レセプション直前の17時から18時の一時間は弊社の講演のために割かれ、近藤代表理事の挨拶・祝辞に続いて北原事務局長から弊社の紹介、日本の人間国宝制度の歴史背景を含めた現状報告、そして今回の日本からの主賓であられる森口先生の紹介を行いました。

 

生憎とパリはちょうど政府の年金改革に反対する労働組合等によるストライキやデモで市内の公共交通機関が麻痺状態。イベント会場への足が心配されましたが幸い大勢の方が参加くださり、弊社の良い広報活動になったものと思う次第です。(つづく)

木寺駐仏日本大使
弊社近藤代表理事
弊社北原事務局長
メートルダール協会リュブラノ名誉会長

メートルダール25周年記念事業(MA25ans)報告1

昨年12月12日から15日にかけてパリ市で開催された“メートルダール25周年記念事業”に協力参加してきました。

 

既にご案内のとおり、これは一昨年11月にフランス、パリ市とストラスブール市で弊社が「日仏人間国宝によるシンポジウム」を主催した時に“メートルダール協会”(Association des Maîtres d’Arts et de leurs Elèves; 以下MA協会)から参加並びに協力要請が有ったものです。

そもそもメートルダール制度はフランス文化省が日本の人間国宝制度に倣って制度化したもので、発端のアイディアを出されたのは大の日本通だった故シラク大統領だったと伺いました。その背景もあり、協会としては記念すべき25周年事業に日本の存在は欠かせないと弊社にお声が掛かった訳です。
ドイツのベルリン工芸会(Meisterrat)をも交えたシンポジウムを開催すること、また、国営セーブル社(Porcelaine des Sèvres)も参加するとのことから日本の人間国宝を代表して戴くということで今回は京都友禅の森口邦彦先生にご出馬をお願い申し上げ、近藤代表理事、北原事務局長の三名での参加となりました。(つづく)
MA25ansのパンフレットの数々
会場となった歴史建造物
来賓の方々と主催者たち

パリにおける日仏伝統工芸交流 

8月にも一部ご報告しましたが、12月にパリで開催される《Maître d’Art(メートルダール)25周年記念事業》の全体の流れが決まりました。

開催期間は12月12日(木)から15日(日)の四日間。
パリのサンジェルマンデプレ広場に面したHôtel de l’Industrieという由緒ある建造物にて開催されます。

主催の「メートルダール協会」は、記念事業にあたってはドイツを招待国としており、独工芸協会とも言える「Meisterrat – German Craft Council」が参加します。

会場には、仏独の工芸家の作品展示はもとより、名門フランスのセーブルやドイツのマイセンが華を添えます。

そして私ども「匠」はイベントのパートナーとして参画し、オープニング初日には私たちの活動を紹介する講演会を開きます。

更に二日目には日仏独の著名工芸家によるシンポジウムを企画、日本からは京都友禅の人間国宝、森口邦彦先生がご登壇なさいます。先般、マクロン大統領も、京都の先生の工房を訪問なさいましたが、先生の渡仏にフランス側は大変喜んでいます。セーブルとマイセンの陶磁器に並んで先生の美しい着物も展示され、日本の美を披露する良い機会になるものと確信しています。

私ども「匠」としては、日仏の伝統工芸交流にまた一つ貢献ができるものと期待しつつ、現在準備作業を加速中です。

フランス人間国宝制度25周年記念イベントの準備

私たちは昨年11月、パリの装飾美術館で“日仏人間国宝によるシンポジウム”を“ジャポニスム2018”の公式イベントとして開催いたしました。日本からは蒔絵の人間国宝・室瀬和美先生に、そしてフランス側からは紋章彫刻のメートルダール(Maître d’Art)・Gérard Desquand氏にご参加戴きました。このメートルダールという称号はフランス政府が日本の人間国宝制度にならって創設した制度であり、フランス文部省のホームページにも「日本の例に習った」との記載があります。このシンポジウムを通して私たちはDesquand氏の紹介でメートルダール協会のBenoît会長、Guillet-Lubrano名誉会長、その他多くのメートルダールの方々と親しいお付き合いを始めることができました。そしてパリを離れる前に先方から2019年はメートルダール制度設立の25周年にあたり、記念行事を12月に行うので是非日本から貴団体にも参加戴きたいとのお声掛けを頂戴したのでした。

 

これを受けて今年の5月に北原事務局長の訪仏時に行事の全体像が以下の通り判明しました;

- 25周年記念事業の開催期間は12月12日(木)から15日(日)までの四日間であること

- 初日のオープニングセレモニーには仏文部大臣以下、工芸関係者の賓客による祝辞が述べられること

- 二日目にはゲスト国であるドイツのマイセンやフランスのセーブルのメートルダールを中心としたシンポジウムが開催されること

- 期間中は工芸のワークショップ、展示会、コンサートなどが行われること

 

そして私たちには以下の参加打診がありました;

- 初日のオープニングセレモニーにおける近藤代表理事の祝辞

- 同日、弊社の活動紹介のConference開催

- 二日目のシンポジウムへの日本の人間国宝の参加

- 同作品の展示

 

現在これらの準備作業に専念していますが、日本の人間国宝のシンポジウム参加に関しては京都友禅の人間国宝、森口邦彦先生のご参加につき、ご快諾を得ることができました。大変名誉なことと感謝しております。特に7月に大阪で開催されたG20サミットの際にはフランスのマクロン大統領が森口先生の工房を訪問されたことでもあり、フランス側も大変喜んでいます。

 

9月には再度北原事務局長が訪仏し、参加企画の詳細を詰めてきます。

 

 

上半期そして7月の交流会報告

「匠」のわざと精神の復活を目的とする当法人のこれまで(2019年6月まで)の活動は、伝統工芸の人間国宝の方々や、伝統的礼節、落語にみる江戸っ子気質、美術史(日本人にとって美しいとは)、科学、VR等さまざまな分野の第一線で活躍している方々に、対談形式を通じて日本人の本質を論じて頂き、有識者の方々に匠の重要性をアピールすることを中心に展開してきました。
 

これらが、我々の第一の使命である「伝える」に属するものであるのに対し、第二の使命である「与える」の活動として、7月に、地域で活躍する若手工芸家に、ビジネスを通じて内外の社会とつながる機会を提供する「匠交流サロン」を開きました。これは設立以来時間をかけて準備してきたもので、12都道府県(北海道、岩手、福島、東京、新潟、長野、岐阜、福井、富山、石川、京都、熊本)から、約20人の若手工芸家(美大大学院生を含む)と、東京を中心とした18人のアドバイザー(世界的に活躍中のデザイナー、プロデューサー、学芸員、美術館長、芸大教授など)合わせて約70名(含経営者6人、自治体2名)の参加を得て無事終了しました。

会合は、各工芸家の自己紹介(工芸への熱意と希望)、各アドバイザーのひとことアドバイスを経て、自由な交流(立食形式)に流れるという形をとって行われました。時間が全体で2時間半という制約はありましたが、最初の試みとしては十分な手ごたえがありました。特に若手工芸家同士の間に地域や分野を超えた横のつながりができたことが、大きな成果でした。これは交流会に先立って行われた作品の展示の過程で自然発生的に生まれたもので、予想していなかった成果です。

工芸家、アドバイザー、経営者などの間のコンタクトの全容を把握することはできませんが、何人かの工芸家からは、アドバイザーから有意義な提言を頂いたとの報告や、交流会の場で話ができなかった何人かのアドバイザーの連絡先を知りたいなどの要請がきており、直ちにビジネスが成立するというより、その可能性に向けて、じわじわと相互交流が進み、成果が出てくるものと思われます。

こうした機会をいかに活用するかは、工芸家それぞれの問題意識と今後の努力にかかっているのは当然ですが、私たちとして、このような方法によってどこまで匠の復活に貢献できるかを見極めるため、現在その評価と改善すべき点の議論を行っています。

メートルダール25周年記念事業(MA25ans) 報告 2

初日12日は招待客のみを対象としたセレモニーが午前11時から夕方18時開始のレセプションまで続きました。

Guillet-Lubrano MA協会名誉会長、BenoitMA協会会長の挨拶に続き、Riester文化大臣こそ代理出席となりましたが、木寺駐仏日本大使、同Meyer-Landrutドイツ大使、Cartier社Vigneron社長、独ベルリン工芸会Johanssen会長、その他来賓から祝辞が述べられました。

 

そのあと昼食をはさみ、広い会場内に展示されたメートルダールの方々の作品群の紹介、或いはミニ・コンサートなどのイベントが催されました。

なかでもSalle Freyssinetという展示室には今回森口先生に特別にお持ち戴いたお着物“緋稜文”を中心として、セーブルが先生の図柄“実り”で焼いたコーヒーカップの夫婦セット、更には先生が書かれた着物の柄の下絵も展示され、セーブルとのコラボレーションのビデオまで流すなどまさに「森口ワールド」の様相を呈し、弊社としても大変誇らしく感銘を受けた次第です。

 

また、メイン会場では夕方レセプション直前の17時から18時の一時間は弊社の講演のために割かれ、近藤代表理事の挨拶・祝辞に続いて北原事務局長から弊社の紹介、日本の人間国宝制度の歴史背景を含めた現状報告、そして今回の日本からの主賓であられる森口先生の紹介を行いました。

 

生憎とパリはちょうど政府の年金改革に反対する労働組合等によるストライキやデモで市内の公共交通機関が麻痺状態。イベント会場への足が心配されましたが幸い大勢の方が参加くださり、弊社の良い広報活動になったものと思う次第です。

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