2018年

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「匠の技~匠と語る日本の未来」対談シリーズ最終回

裏千家千玄室大宗匠のお話を伺って

当法人の初年度の事業の一つ、対談シリーズ「匠と語る日本の未来」は、皆様のご支援のおかげで、去る12月13日に無事完了致しました。

14回にわたるさまざまな匠の方々のお話は、それぞれ胸に深く残るもので、この春には記録の出版を予定しておりますが、最終回の裏千家千玄室大宗匠のご講演は、本シリーズの最後を締めくくるに相応しい素晴らしいものであったことから、取り急ぎここにその概略をお伝えします。

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ご講演当日の12月13日は、京都では「事始め」と言われる大事な日でした。「事始め」は、古来宮中や武家で行われてきた有職文化が日常生活にも取り込まれてきた季節の節目のしきたりのひとつで、正月を迎える準備を始めてよいという日とのこと。

日本人の自然や季節を尊び愛でる心が、生活の中にしきたりとして根付いてきた「事始め」のお話から始まり、大宗匠の外国での多様な交流や戦争体験などを通じて日本人の精神性と「匠」の価値を、記紀、万葉集、『茶の本』など多くの古典を引用しながら、幅広い文化的背景から語られました。

会場となった京都美術工芸大学のホールには、各地から集った聴衆だけでなく多数の学生も参加し、大宗匠の次代への熱い思いが心に深く印象付けられるご講演でした。

「匠」という「技」は、単なる”skill”ではなく、「工夫(考える)・創意(実行に移す)・趣向」をあわせ持つ”philosophy”と考えるべきであること。「匠」には高度な技術でものを作るということだけでなく、高い精神性が求められ、両者が高度に発揮されなければ真の「匠」とは言えない。それは、武士道や茶道の基本にある日本人の精神性、すなわち「理」だけではない「情」「美意識」の文化に深く支えられているという。

「もてなし」について、茶道や武士道に基づいて次のように述べられました。「一期一会」、利休七則の「茶は服のよきように点て」、などを引用され、相手への思いやり、謙虚さ、加減、物事や人の「間」を大事にする精神、無駄な衝突を避ける精神、一体感を大事にする精神が、「もてなし」に通ずる。例えば、茶道で、茶碗の正面を避けてお茶を頂くという作法は、相手に対して一歩引く姿勢を示すこと。“May I help you?” "thoughtful”の意であると。

そして、万葉集第一巻にある舒明天皇の国見の歌を引用し、天皇が国家の安寧を願い万人平等を思う心をよく表しており、民との精神的な結びつきがあることにも触れられました。

「匠」の伝統と伝承は、単なる技術ではなく、「真・善・美」を大事にする一人ひとりの思いをフォーカスすることで紡がれていくものであると述べられました。

予定の時間を超え、分かりやすい丁寧な説明で、時にユーモアを交えたエネルギー溢れるお話は、若い学生たちも深い感銘を受けたことと思います。

日仏シンポジウム報告

“日仏人間国宝によるシンポジウム”をパリ並びにストラスブールで開催

11月16日、蒔絵の人間国宝、室瀬和美氏と紋章彫刻のメートルダール(日本の人間国宝に相当)Gérard Desquand氏を囲み、近藤誠一当法人代表理事のがモデレーターを務める形でシンポジウムをパリで開催。
また、これに先駆けて11月12日にストラスブール市においても同様のシンポジウムを事務局長の北原隆のモデレーターのもとで実施しました。パリに於いては「ジャポニスムの150年」展が開催されるオープニングの日に合わせて会場となるパリ装飾美術館でシンポジウムを実施することが出来たことに加え、ストラスブールにおいても今年は日本がゲスト国として招待された恒例の工芸展 Résonanceの最終日に合わせてシンポジウムを行うことが出来ました。

シンポジウムにおいては人間国宝制度の日仏比較、そして社会における(伝統)工芸の地位の比較を中心に議論が展開され、特にパリにおいては質疑応答が予定の時間を大幅に超えて活発に行われました。
パリでは約70名の来賓に参加いただき(木寺昌人駐仏特命全権大使、杉浦勉日本文化会館館長、片川喜代治パリ日本人会会長、小林史人在仏日本商工会議所会頭、Marselle Guillet-Lubrano仏メートルダール協会名誉会長、Benoit同協会会長等)、またストラスブールでは約90名(佐藤隆正在ストラスブール日本国総領事、Ninon DERIENZO Salon Resonance代表、CEEJA:アルザス日本学研究所代表等)の参加があり、両会場ともほぼ満席でした。

フランスの工芸関係者の参加が数多くあったせいか予想以上の反響があり、日本の伝統工芸に対する関心の高さが感じられました。日本の伝統工芸の活性化、国際化のためにも欧州、就中フランスの工芸界との交流は極めて重要にて、今回現地にて構築した関係を将来のために発展・維持させたいと思います。

会員の皆さまは、是非会員のページで、詳しい報告をお読みください。
パリ装飾美術館 Salle de Conference
Gerard Desquand氏・ 室瀬和美氏(パリ)
ストラスブールLa Resonance会場にて
ストラスブールでのシンポジウム

匠プロジェクトへ協力(トロットマン氏)

7月2日、訪欧中の北原事務局長がストラスブール市に赴き、市議会顧問であるカトリーヌ・トロットマン氏(元文化大臣、元ストラスブール市長)を訪問しました。
北原は、匠のコルマールにおけるプロジェクトの推進に向け、市の支援を要請、トロットマン氏からは引き続き全面的に協力するとの返答をいただきました。

「類まれなる経験ができる、素晴らしいプロジェクト」(クリンケルト知事)

522日(火)都内にて、オーラン県知事と会合、レセプションを行いました。

我々がフランスのアルザス地方で、欧州に存在する沢山の日本の伝統工芸品(刀剣、漆器等)の修復、展示、ワークショップを行うなど、日欧文化交流の拠点をつくるという企画をもっていることはご案内の通りです。


今般、その候補地の所有者であるオーラン県(Haut-Rhin )のクリンケルト知事が来日した機会に、我々チームと今後の協力関係につき話しあい、夕刻日仏共同でレセプションを行いました。
欧州の日本古美術のカタログをつくられたジョセフ・クライナー博士や、外務省、文化庁の幹部も出席してくれました。

そこで挨拶された知事は、我々が企画している交流拠点は、実現すれば欧州のどこにもない「類まれな経験 une expérience exceptionnelleができる場」であると、興奮気味に話されました。

実現には乗り越えねばならない種々の困難もありますが、この言葉は関係者を大いに勇気づけるものでした。



都内ホテルでのレセプションにて。 知事と近藤

3月: 京都での対談を終えて


©新美術新聞4月11日号

2月22日

《対談シリーズ》第二回。
竹工芸の人間国宝藤沼昇氏を迎えました。

2月11日

代表理事近藤誠一のエッセイ『新美術時評』で、対談シリーズ第一回のご報告をしています。


©新美術新聞 2月11日号
http://www.art-annual.jp/news-paper/

1月29日(月)

《対談シリーズ第一回》は定員を上回る参加者を得、好評を博しました。

アクションプラン第一弾

私たちのアクションプランの第一弾として、対談シリーズ匠と語る日本の未をスタート。
20181月から
、日本を代表する匠(工芸、芸能から食まで)や、最先端産業において匠の技術により倒的な世界のシェアを誇る中小企業のトップをお招きしたディナー対談を行い、最終的にシリーズをまとめ、出版を予定しています。

第1回は、蒔絵の人間国宝として活躍されている室瀬和美氏。
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